カメラつき携帯電話による写真の撮影は、2000年に入ってすぐに日本で最初に流行し、数年前にアップルのiPhoneとそのアプリが市場を席巻して以来、世界的な現象となっている。フォトグラフィーならぬ「アイフォノグラフィー」という新語が誕生し、新たなスナップショット・ムーブメントが巻き起こった。
その担い手は、自分――あるいは他人――の私生活を、メールやブログ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じてリアルタイムで伝えたくてうずうずしている世界中の何十億という若い「ネチズン」たちだ。自分らしい語り口とその場での思いつき的で型破りな手法をもって、まるで日記を書くように写真を撮るこれらのフォトグラファーたちは、余暇あるいはパパラッツィ的な味わいをもつスナップショット文化をつくり上げていった。
フォトジャーナリストのヴィンセント・ユーが、ハンディなiPhoneの特徴を生かして東日本大震災後の風景を撮影した何千枚ものスナップショットから選んだ作品を収めたのが「Japan311」シリーズである。通常のアイフォノグラフィーのもつ気取らないリラックスした雰囲気とは異なり、これらの沈鬱な映像は従来の中判カメラで撮影した際に得られるようなスケールの大きさをたたえている。またデジタル化された携帯電話を使うことで、快適とはいえない環境での撮影に伴う負担も軽減されただろう。
かつてフランスの哲学者ロラン・バルトはその著書『表徴の帝国』(1970)で、日本文化の視点に立ってさまざまな記号の解読を試みたが、ヴィンセント・ユーは戦後の長崎・広島の焼け跡を撮影した日本人写真家のような感性をもって、今回の大震災が日本にもたらした壊滅的な状況に正面から向き合い、それをiPhone画像という形で明示することにみごとに成功している。
テキスト:Blues Wong (翻訳:幾島幸子)
自千禧年初,照相手機與流動電話攝影在日本率先流行起來;隨著iPhone與相關應用程式於年前雄據市場佔有率首位,上述情況即演變成全球現象。新快照運動在新創術語‘iPhoneography’見證下誕生,並得到上億計全球年輕網民支持。他們渴望通過電子郵件、網誌及社交網絡,即時把自己(甚至是別人)的私生活公諸於世。這些日記寫手般的攝影師,採取自主話語權及自然破格的藝術手法,建立帶有悠閒或偷拍況味的快照文化。
作為攝影記者,余偉建借助方便易用的iPhone來捕捉日本災後景象,‘日本311’系列正是從數千張快照選輯而成。跟iPhone攝影一貫的輕鬆隨意不同,這些沉重影像展現莊嚴的角度,就像用上傳統照相機。流動電話易於操作,解除了攝影師在不愉快環境下工作的負擔。法國哲學家羅蘭‧巴特1970年出版的The Empire of Signs,剖析日本生活文化中的符號。正如日本攝影師在長崎廣島拍攝戰後廢墟,余偉建憑著同樣的敏銳感,應對當地當前的滿目瘡痍,把憤懣籠罩的意象以iPhone照片呈現。